「カードでお金」と書かれた目立つ看板で知られるクレジットカードのショッピング枠現金化は今ではアンダーグラウンドな商売であり、メディアからはヤミ金融の一種として表現することも少なくありません。

国民生活センターや日本クレジット協会などでも被害者による相談事例等でクレジットカード現金化排除に向けた啓発うぃ行っており、利用者に現金化行為を控えるよう注意喚起を促しています。

そんな動向が何年も実施されているにもかかわらず、現在でも現金化業者は廃れることなく、ショッピング枠を現金化したいニーズもなくなることはありません。

しかしながらクレジットカード現金化は2011年に貸金業法違反及び出資法違反で摘発された現金化業者がおり、事実上の高金利での金銭の貸付であり犯罪とされています。

この全国で初めて逮捕された現金化業者が行っていたのはお金を必要とする債務者に対し、ほとんど価値のない商品をクレジットカード決済によって購入させ決済金額から20%近い手数料を差し引いた金額を渡していました。

利用者に渡した金額を貸付金とし、クレジットカード会社から集金できる金額を返済と解釈した場合、法定金利をはるかに上回る高金利での融資となり摘発されたのです。

その後、クレジットカード現金化の業者が逮捕されるニュースが流れる度に「商品の売買取引を装ったヤミ金融」などと報道されるようになりクレジットカード現金化は高金利の金融業者となりました。

今まで現金化業者が逮捕される理由となった容疑はヤミ金融と同様の

  • 貸金業法違反
  • 出資法違反

という法律に違反したことによるものでしたが、これらとは異なる容疑で現金化を行っていた容疑者が摘発されたのです。

ではこれまでとは異なるクレジットカード現金化が抵触する犯罪とはどのようなものなのか検証していきます。

ヤミ金偽装工作か…カードで商品購入装い現金詐取

商品売買を偽装し現金詐取

クレジットカード現金化とヤミ金融の共通点となるのが、どんな人間でもお金を工面することができる点といえるでしょう。

消費者金融の借り入れが限度額まで達している方や現在は働いていないため収入がない方でも資金調達をすることが可能です。

反対に相違点といいますとヤミ金融は明らかに法律違反となる違法金利での融資となるのに対し、クレジットカード現金化は名目上ではクレジットカードでの商品売買や購入した商品の買取となるため明確な犯罪行為ではなくグレーゾーンといえるでしょう。

ただクレジットカード現金化でもキャッシュバック特典付商品をクレジットカード決済で購入させる現金化方法はこれまでいくつかの逮捕事例があるため、すでにヤミ金融と同様の扱いとなっています。

そのため現在のクレカ現金化の主流となるのはキャッシュバック方式ではなく、クレジットカードで購入した商品を買い取る方法での現金化です。

商品の買取による現金化方法は古物商の許可があれば金券ショップやリサイクルショップと同じ中古品の売買であり、正規の商売として問題なく営業することができます。

ところが大阪で古物商の届出を出してクレカ現金化を行っていた業者が逮捕されました。

クレジットカードで商品を購入したように装い現金をだまし取ったとして、大阪府警生活経済課などは3日、電子計算機使用詐欺容疑で、堺市北区蔵前町、無職の韓国籍、朴寿男被告(70)=貸金業法違反などの罪で起訴=を再逮捕した。容疑を認めている。

同課によると、朴容疑者は古物商の届け出をして営業していた大阪市中央区のヤミ金業の店舗で、客が商品をクレジットカードで購入したように装って決済。決済金額の約15%を利息として受け取り、残金を客に貸し付けていた。ヤミ金を偽装する工作だったとみられる。

再逮捕容疑は、客の男(69)と共謀し平成27年2月下旬、カード会社から現金約25万円を詐取したとしている。

朴容疑者は6月、無登録でヤミ金を営んでいたとして府警に逮捕されていた。

そもそもこの逮捕された容疑者というのは年金や生活保護受給者を相手に融資を行っていた違法金融業者です。

これまでも金融業者や元ヤミ金業者がクレジットカード現金化を行い逮捕された事例はありそこまで珍しいニュースとは感じられない方は少なくないでしょう。

しかし今回の事件は過去の現金化業者摘発とは大きく異なる部分があるのです。

ではどの部分が今までの逮捕事例と違うのかといいますと、今回の容疑者が逮捕に至った容疑はこれまでの出資法違反や貸金業法違反ではなく電子計算機使用詐欺容疑というまったく異なる法律に違反している点といえるでしょう。

ではこのクレジットカード現金化が電子計算機使用詐欺容疑となる理由について検証していきます。

現金化業者が摘発された電子計算機使用詐罪とは?

現金化が電子計算機使用詐欺容疑

これまでのクレジットカード現金化が逮捕された罪名は

  • 貸金業の許可なく融資の業務を行っていたとして無許可営業という貸金業法違反
  • 違法な高金利での融資を行っていた出資法違反

の二つの犯罪となります。

しかし今回の容疑者は電子計算機使用詐欺容疑という別の法律に抵触しました。

ではこの電子計算機使用詐欺罪とはどのような犯罪なのかといいますと、人の事務処理に使用する電子計算機(コンピュータ)に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて、財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録を作る行為となります。

もっと簡単に要約しますと電子計算機というのはコンピュータやパソコンでありそれを使用した詐欺行為といえるでしょう。

つまりお金を貸した借りたということではなく、パソコン等を使用しお金を騙し取ったという犯罪なのです。

これは顧客を騙し手数料を差し引いたということではありません。

むしろクレジットカード現金化の利用者は業者と共謀したことになり、共犯となる可能性もあります。

つまりこの電子計算機使用詐欺という犯罪はクレジットカード会社に対し利用者と現金化業者が共謀し現金を詐取したという容疑なのです。

これまでのクレジットカード現金化では業者が逮捕されることはありましたが、利用者が法律に抵触することはありませんでした。

しかし今回初めて現金化を利用した客も共犯者として詐欺が立件されたのです。

クレカ現金化の方法として商品売買の偽装は危険

危険なクレカ現金化方法

ヤミ金融からお金を借りて返済ができなかったとしても、法律に違反することはありません。

しかしクレジットカード決済によって商品購入を装った現金化方法では詐欺の共犯として犯罪に加担する可能性もあります。

クレジットカード現金化はお金を借りる方法ではありませんが、クレジットカード会社を騙すような行為として違法性があるのです。

そのため現金化業者だけではなく利用者も詐欺容疑で逮捕されることも考えられます。

ではどのような現金化方法は危険があり、どのような現金化方法なら安全なのかといいますと、どこでクレジットカード決済を行うかがポイントといえるでしょう。

たとえば近所にある大型家電量販店で20万円で販売されていた最新型の一眼レフカメラをクレジットカード決済で購入しました。

ところが先輩から同じメーカー型落ちのカメラをいただくことができたのです。

そのためせっかく購入した20万円の新品の最新カメラが不要になってしまったので中古買取店で販売価格の85%で買い取ってもらいました。

これも結果的にはクレジットカードのショッピング枠を現金化したことになるでしょう。

ではこのクレジットカード現金化が法律に違反するかといいますと、貸金業法にも詐欺にも抵触することはありません。

そうなりますとどの部分がクレジットカード会社を欺く行為と解釈されるのでしょうか?

それはクレジットカード決済をする端末を現金化を行う業者が用意している場合です。

今回、逮捕された現金化業者は古物商の届出を出しており商品の買取をするだけであれば違法性はありませんでした。

しかし電子計算機使用詐欺容疑で逮捕に至った要因というのは業者が販売する商品をクレジットカード決済で購入させていた点にあるのです。

そのためたとえ商品の買取という現金化方法であったとしてもクレジットカード決済で商品を購入させているため売買取引の偽装という部分に違法性があるといえるでしょう。

今後はオンラインでのクレカ現金化自体が違法となる可能性もある

オンラインでのクレカ現金化は違法

今でも「カードでお金」や「ショッピング枠の有効活用」などと書かれた店舗型の現金化があります。

それとは別にパソコンやスマホからでも利用可能なインターネットでのクレカ現金化も数多くあるのです。

店舗での現金化方法はみどりの窓口で販売されている新幹線チケットをクレジットカードで購入し換金する方法が大半を占めますが、インターネットでのクレカ現金化は各業者によってそれぞれ異なります。

このように目的としてクレジットカード決済をさせ決済額の8割程度の現金を振り込むことですが、その名目となる方法はいくつもあるのです。

しかしながらどの現金化方法でも正規の商品売買取引とは違い、現金化目的での偽装取引でしかありません。

したがって今回の事件のようにどの現金化方法でも違法性を問われる可能性があるのです。

ただ例外となる現金化方法としては

  • ブランド品等の郵送による買取
  • アマゾンギフト券の買取

といった現金化方法は現在でも法的な問題はありません。

インターネット上で営業している現金化業者は無数にありますが、キャッシュバック方式や商品の買戻しによる現金化の場合には違法性があることを覚えておきましょう。