2011年に日本全国で初めてクレジットカードのショッピング枠を現金化する商売を営んでいた業者が摘発されたことによってそれまで合法とされていた金融ビジネスが違法と化しました。
その後、次々と現金化業者が高金利での金銭の貸付を行ったとして出資法違反及び貸金業法違反の容疑で逮捕され、世間からはクレジットカード現金化はヤミ金融による違法な融資というイメージが植えつけれていったのです。
今でも大半の方はクレジットカード現金化は
- 法律的にグレーな商売
- 法定金利の数倍となる高利貸し
- 売買取引を装った金融業者
といった印象を持っている方は少なくないでしょう。
では本当にクレジットカード現金化という商売は非道な犯罪行為なのでしょうか?
確かに現金化業者に申し込みをしショッピング枠で買い物をし現金化される金額は決済した金額の7割から8割となるため、現金化された金額を貸し付けの元金と考えれば高い利息となります。
しかし現金化業者を介さず自分自身でショッピング枠を現金化することも可能です。
換金性の高いノートパソコンやゲームソフトをクレジットカードで購入し買取専門店で換金すればショッピング枠を現金化することは難しくありません。
この自分で行うクレジットカード現金化では仲介する業者は存在しません。
そのためクレジットカードで商品を買いに行く手間や換金しに行く時間が必要となります。
現金化業者を介すことによって手間や時間が省くことができるのですが、現金化業者だけが法律に違反することになるのでしょうか?
自分でやれば時間や労力が必要だが、多少の費用を支払って業者に頼んだ方が効率的なことは世の中に多くあると思います。
たとえば大型家具の組み立てなど購入時のオプションとしてある程度の金額を支払えば配達する業者が組み立ても行ってくれますが、自分で組み立てることも可能です。
家具の組み立てをする時間と労力をオプション料金として支払っているだけではないのでしょうか?
ではなぜクレジットカード現金化という商売が認められないのかを検証していきます。
目次
クレジットカード現金化の法律的な問題点
「クレジットカード現金化は違法」という印象は過去に逮捕された報道があったことによって脳裏に焼き付けられています。
そのため現金化業者は金融業者として今後も違法性を問われ容疑をかけられることになるでしょう。
しかし今でもクレジットカード現金化を商売として営業している業者は数多く存在しています。
- ではなぜ違法なはずの現金化業者が逮捕されることなく営業を続けているのでしょうか?
- 実はクレジットカードのショッピング枠を現金化する行為自体は法律に違反していないのです。
この回答に疑問を抱かれる方は少なくないでしょう。
確かに2011年に東京上野で営業していた現金化業者が逮捕されたことは間違いありません。
それ以前からキャッシュバック方式によるショッピング枠現金化は行われていたにも関わらず摘発されることはありませんでした。
そして2011年に貸金業法などの法改正が行われたわけでもありません。
それなのになぜ合法であったはずのクレジットカード現金化の業者が逮捕されたのかといいますと、ショッピング枠現金化が違法になったのではなく逮捕された現金化業者が法律に違反する行為をしていたのです。
したがってクレジットカードのショッピング枠を使用して新幹線の回数券を購入し換金しても、キャッシュバック特典付商品を購入することも違法行為ではありません。
つまりクレジットカード現金化自体に違法性はないといえるでしょう。
日本以外の海外のクレジットカード現金化事情
クレジットカードはアメリカを発祥とする海外から始まったシステムです。
そのため日本よりもアメリカや欧米諸国の方がクレジットカードの先進国といえるでしょう。
反対に日本はクレジットカードの普及が進まない発展途上国なのです。
ではこのクレジットカードのショッピング枠現金化は日本以外にも行われている地域はあるのでしょうか?
韓国でもクレジットカード現金化は禁止行為
クレジットカード現金化は日本だけではなくおとなり韓国でも行われている資金調達方法でした。
日本と同じように韓国でもショッピングサイトやPayPalでクレジットカード現金化が行われているのです。
ただ日本でのクレジットカード現金化との違いは「カード現金化」という表現方法ではなく「カード割引」という言葉が用いられています。
内容には差はありませんが、韓国の現金化業者が決済した金額の割引率を差し引き現金を渡すことになるためカード割引と表現されているのです。
ちなみに韓国でもクレジットカード現金化は認められておらず禁止行為となります。
アメリカやオーストラリアのクレジットカード現金化
日本や韓国ではクレジットカード現金化は認められていませんが、クレジットカード先進国となるアメリカやオーストラリアではそうとは限りません。
日本よりも圧倒的にクレジットカードが普及しているアメリカやオーストラリアではクレジットカード現金化は合法なのです。
米国のPayPalは他人のアカウントを使用することなく自分自身のアカウント内でクレジットカード現金化をすることができます。
さらにPayPalだけではなくどこにでもあるマクドナルドで5ドルのハンバーガーを購入する際にも50ドルでクレジットカード決済をすることができ45ドルが現金化されることになるのです。
海外ではこのカード現金化を「キャッシュアウト(cash out)」というサービスとして提供しています。
このようにクレジットカード先進国ではショッピング枠はお金以下のものではなく、お金と同等の価値として扱われているのです。
日本社会でクレジットカード現金化が公認されない理由
世界的に見ればショッピング枠を現金化することは違法行為ではなく、ごく日常的なことです。
しかし日本ではクレジットカード現金化は消費者庁や国民生活センターが注意喚起を呼びかけているようにリスクの高い違法行為とされています。
- ではなぜ海外では合法となるクレジットカード現金化は日本社会に受け入れられることはないのでしょうか?
- その理由はクレジットカードのショッピング枠の考え方の違いといえるでしょう。海外ではクレジットカードのショッピング枠はお金と同じ価値です。しかし日本ではショッピング枠は借金でしかありません。
クレジットカード現金化はショッピング枠で買い物をする必要があります。
そして利用したショッピング枠は翌月に請求されることになりお金を支払わなければなりません。
つまりショッピング枠を利用してお金を借り、返済するのと同じ意味といえるでしょう。
アメリカでは現金化するための手数料はないためほぼ100%の換金率で現金化することができますが、日本のクレジットカード現金化の換金率は業者に依頼すると8割が相場なのです。
したがって残りの2割は利用者の負担となり、クレジットカード現金化は実質的に効率の悪い借金となってしまいます。
これが日本社会でクレジットカード現金化が認められない理由なのですが、アメリカやヨーロッパのようにクレジットカード現金化を公認すれば悪質な商売とはならないでしょう。
というよりも現金化が認めれることによって現金化業者は消滅することになることは間違いありません。
しかし日本でクレジットカード現金化が公認されるまではまだまだ相当な時間が必要であり、アメリカのように自由に現金化できることを想像もできない状態です。
したがって今後も認められることのないクレジットカード現金化という商売は続いていくことになるでしょう。